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この前、人を拾いました
第92章 ⑩—5 彼の言葉の真相は
「礼二は……」
優しい声が、今の私に染み渡る。
顔を上げると、優しい表情の中の鋭い眼差しが貫く。
「あなたを悲しませたり……していませんか?」
「っ……えっ?」
「あなたのお父様と約束しましたからね」
─────────────万万が一裏切るようなことがあったら、私がただじゃおきません
あの日の、西園寺代表の声が甦る。
「一ヶ月経ったし、ちゃんと聞いておこうと思ってね」
「西園寺大──いや、お義父さん……」
「仲良くしてもらわなきゃ…。私は早く孫が見たいのだ」
「っ………」
息が出来なくなるような感覚。
泣いたりなんかしない……
そう思って必死に笑顔を見せようとすると、西園寺代表は、やはりか…と呟き、表情を変えてため息をついた。