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この前、人を拾いました
第92章 ⑩—5 彼の言葉の真相は
「僕は……こわい……っ」
「……うん…」
「子どもは……欲しいけどっ……でもみきちゃんの命を引き換えにしてまで欲しいとは思ってないっ…」
ごめんね。
こんなに不安に思ってることに気付かなくて…。
「でも、私は病気じゃないし…死なない……」
「っ…………」
「レイと……」
そして…
「レイとの子どもと囲まれて暮らしたら、すごい幸せだろうなって。そんなことばっかり夢見てる…」
少しだけ落ち着いたレイは、さらに私を強く強く抱き締める。
「約束だからなっ……!」
「………うんっ…」
「絶対にっ……」
「うんっ……」
「絶対にっ……!」
結婚したらそれでもうドキドキは終わるんだって、そう思っていた。
でも違うみたい。
まだまだこの変な彼に惹かれて、そして、愛が止めどなく、溢れる。
「じゃないとっ……」
「息……出来なくなっちゃうもんね…」
顔を上げたレイの涙が、見上げる私の頰に落ちた。
レイに涙は似合わない。
大きな口開けて、ハハハハハハって笑っている方が、1000倍も10000倍も似合う。
目を閉じて、そして唇が重なるのを待つ。
久しぶりの温かさ。
強く彼の身体を引き付けながら、私はレイへの愛を再確認していた。
「親父に……騙された……」
そう呟くレイのことを聞きながら。