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この前、人を拾いました
第14章 ②―3 挑発には乗ってはいけません
「みきちゃん、また池田くん来てるよー」
百合子先輩が、そういいながら私の肩を叩く。
「げ…またですかっ…」
入り口の方を見ると、正人さんが手を降っていた。
「飲み会であんなかっこいい彼氏見せつけられたっていうのに、本当に強かな男ねぇ」
あきれたように、百合子先輩が呟く。
数ヶ月前、
飲み会で正人さんと知り合ってから、よくうちの部署に正人さんは来るようになっていた。
「まぁでも、あれはみきちゃんも悪いのよ。」
「だから覚えてないんですって…。」
私は軽く正人さんに手をすると、百合子先輩にだけ聞こえるように小さな声で言った。
情けないことに、飲み会で起きた出来事を私はまばらにしか覚えていなかった。
いや、まぁ…
正確にいうと…
レイに関すること以外のことをあまりよく覚えていないのだ。
でもあの日……
初めてレイが私を抱いてくれた時、正人さんに嫉妬してたよなぁ。
思い出してニヤニヤしていると、百合子先輩の不審がるような視線を感じた。
「いま、レイくんのこと考えてたでしょ。」
ギクッ…
的確なその指摘に思わず肩が動く。