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Beloved
第1章 さだめ
(起きろ‥起きろ‥)
地獄の底から響きわたるような声。
だれ…だれなの…?
私はゆっくりと目を開けた。
私の部屋は二階にあり、ママがいつも必ず戸締まりを済ませて私を寝かしつけてくれていたはず。
しかし、肌寒さを感じ窓の方に目をやると
カーテンがなびいているのが見えた。
どうして窓が‥?
まだ七歳と幼かった私は、不自然に漂う空気と
あの“私を呼ぶ声”が恐ろしくなり、
布団のなかに身を隠す。
(俺はお前を必ずさがしだす…
やっと‥やっと見つけたんだ…!
お前は俺のものだ!
‥だがまだ少しばかり小さいようだ…
愛し合うに相応しい、お前が16になったら
必ず迎えにくる
必ず‥必ずだ。)
あまりの恐ろしさに堅く閉じていた目をあけると、
布団に隠れていても月明かりに照らされ、
“なにか”のシルエットがうっすらと見えた。