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愛されたいから…
第17章 休日と仕事
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今はイルマがイラついているのが俺にはわかった。

始めは俺が仕事で家に帰るなり、まず俺の目に入って来たのは描く事に夢中になり、まるで今にもイキそうな顔で陶酔しているイルマだった。

俺はそんなイルマに興奮して、そのまま無理矢理にでもイルマを抱きたいとか思ってしまった。だけど、イルマが描いていた原稿を見てから一瞬で俺は我に返っていた。

これが…、天才の絵なんだ…

明らかに人に凄いと思わせる絵…、まだ下描きの段階なのに、イルマのファンならば額に入れて飾りたいとまで感じさせる絵がイルマに興奮する俺にブレーキをかけていた。

たかが官能漫画のカラー表紙でエロいだけじゃなく繊細さと芸術的な美を感じさせるこれだけの絵を描ける漫画家がどれだけいるんだろう…。

自分の中でイルマに思わずガツガツとしてしまう自分を軽蔑する気持ちが湧いて来る。落ち着いて俺がイルマのペースに合わせてやらないとイルマが俺といる事をいつか苦痛に感じる日が来てしまう。

その恐怖が俺にブレーキをかけていた。だから、地味でも確実に美味いと評判の店に俺はイルマを連れて行った。イルマはずっとご機嫌で食事を楽しんでいた。

なのに、昔の知り合いという女に出会った瞬間からイルマが突然、苛立ち始めていた。自分のペースを乱される事をイルマが嫌って苛立っているのだと俺は確信していた。

だから俺はイルマを家に連れて帰ってからも無理矢理にキスをして無理矢理に抱きたい自分を堪えるのに必死だった。

イルマはイルマを感じさせてその気にさせるだけじゃダメなんだと俺にはわかっているから…、逆にイルマが俺を求めてその気にさせようとするまで俺が待ってやらないとダメなんだとつくづく思ってしまう。

2人で風呂に入ってから俺は

『洗ってやる。』

と言い訳をしてイルマを洗ってやる。普通にやらしさを感じさせない程度のギリギリでイルマが感じる場所を俺はわざと洗っていく。

頬をピンク色に染め、少し口を尖らせて拗ねた顔で俺に仕返しをしようとするイルマ。ふざけた遊びの延長でイルマをその気にさせるのが、自信がなくコンプレックスばかりなのにプライドだけは人一倍高いイルマには一番の刺激だ。
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