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愛されたいから…
第6章 大地の思い
そんな恭一さんからすれば、俺は親父の邪魔なコブだった。別に恭一さんは普通に俺にも優しくしてくれたけど、俺は恩人である恭一さんには親父と静かで幸せな生活をして欲しかった。

それに俺には俺で恭一さんみたいに幸せにしたい奴がいるからだ。

俺が幸せにしたい奴…、俺がこの大都会に転校して来て最初に俺に笑いかけて来てくれた奴…

如月 イルマ…、初めて会った時は俺はイルマをボーイッシュな女の子だと思ってしまった。でも、すぐに体育の授業で着替える時にイルマを男だと知った俺は何故かそれが嬉しかった。

何故なら女なんか最低の生き物だからだ。お袋のせいでそんな事を思っていた俺に親父はいつも

『学生時代の友人って凄くありがたい存在になるから大切にしなさい。』

と言っていた。俺も親父の学生時代からの友人だという恭一さんを見て全くその通りだと思っていた。しかも、イルマは最高に可愛い男だった。そこいらの女なんかより、断然に可愛い顔をしているイルマ。色が白くて大きな目をクリクリとさせながら

『また痴漢に会ったよ。俺は男だってのに…。』

と高校生のイルマが拗ねたように可愛く膨れっ面で俺に言う。だってイルマはそんなにも可愛いんだから仕方ないよ…、俺はそんな言葉を呑み込んでしまう。

それはイルマが女みたいに可愛い自分にコンプレックスを持っているからだ。ちゃんと男物の学生服を着ていてもイルマは普通に女に見えてしまう。

まぁ、うちの高校はブレザーだったから上半身だけなら女子と同じ制服だ。俺はイルマがそうやって俺に甘えて来て

『大地みたいになりたいんだ。大地なら痴漢なんかに絶対に会わないよね?』

と抱きついて来るのが嬉しかった。俺はイルマの頭を撫でてやりながら

『いつかなれるよ。』

と気休めだけを言ってやる。イルマはこのままでいいんだよ。純粋で素直で可愛くて、俺をドキドキさせて来るイルマのままで居て欲しい。

俺はいつもそれだけをイルマに願っていた。

俺が初めて性的に感じて勃起したのも相手はイルマだった。まだ中学生の頃、夏休みに外に遊びに行った俺達にいきなりのゲリラ豪雨が襲っていた。だから公園の休憩所で雨宿りをしていると

『びしょ濡れだよ…。』

と言っていたイルマのTシャツがイマルの身体に張り付いていて、寒さでイルマの乳首が立っているのが俺に見えていた。
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