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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第2章 始まりは桜の下で……
夕方、少し気まずい思いを抱え、私は桜が良く見える公園へとやって来た。
「……綺麗……」
朝の桜も良いけれど、夕方のちょっと花びらが舞う桜も良い。総じて桜が大好きなの、気分が晴れやかになる、そんな気がして……。
穏やかな気分で桜の木の下で待つ私。だって公園とは言われたけれど、公園のどこという指定は無かったから、一番好きな場所で待つことにしたの。
「……三苑さん……」
始めに来たのは小野寺さん。そうだよね、同じ会社で退社時間も同じ。うちの会社は余程仕事が押していなければ残業なんて無い。
今日はメインになる尾上さんとの打ち合わせも終わっているので、小野寺さんも定時上がりだとは思っていた。
「わざわざ待ってくれてありがとう三苑さん」
「うん、でも話は少し待って」
「? なにかあったの?」
「それが…………」
「……三苑さん」
ほら、噂をすれば……。
小野寺さんの向こうから、尾上さんが歩いて来る。
……やっぱりダメだった?
「小野寺さんの話の後に、尾上さんからも同じ場所、同じ時間に呼び出されてしまって……ごめんなさい、二人一緒になってしまって」
「……尾上さん」
「小野寺さん……」
小野寺さんの隣に立った尾上さん、二人は顔を見合わせて驚いている感じ。
どうしよう、一人一人話を聞けば良かったの?
「……僕は尾上さんが一緒でも良い」
「俺も小野寺さんが一緒でも良いね」
「すみません。それで話とはなんですか?」