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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第9章 あの時-千弥の封じた過去
気持ちよく目が覚めれば、両隣には蓮さんと陸さんが眠っている。私もこんなに穏やかに眠れたのは久し振りだから、二度寝してしまいそう。でも二人の寝顔って綺麗、蓮さんは凄く睫毛が長いことに気がつき、陸さんは寝ると明るい茶髪が跳ねてる。……良いねこういうの、今まで無かったことだからドキドキ感がいっぱい。
(でもね、みんな起きたら……)
私は昨日言った、話を聞いて欲しいと。
過去の私がなにをしたのか、どうしてこんな風になったのか、それを上手く順序立てて話せるだろうか?
今から心と記憶の整理をしないと、とてもじゃないが全ては話せない。
ベッドの上で仰向けのまま私は考える、都会に出て封じた過去を……。
(思い出したくない気持ちはまだあるの。それでも思い出さなきゃダメ、いつかはバレてしまうから)
ゆっくりと目を瞑り思い出すのは……私が住んでいた街。子供の頃は普通だった。男女共学で友達と恋バナなどを話して一喜一憂なんかも経験したり、受験だと徹夜で猛勉強もやった。
……この頃が一番普通だったと思う。気兼ねなく活発に動き回り誰とでもよく話す、これが本来の私なのよ。
「……早いね千弥?」
「目が覚めちゃって……」
思いに耽っていれば、蓮さんの瞳が開き私に笑いかけて来るの。それに……。
「うーん……まだ眠いよ」
「おはよう陸さん」
反対側で私にくっつき、二度寝しようとする陸さん。
私には二人が大切、どちらかじゃなく、どちらも大切な人。