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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第9章 あの時-千弥の封じた過去

そう、こうして一緒に生活をして気づいたの、どちらも等しく大切なんだって。片方だけでは出来ないことも、二人揃えばなんでも出来てしまうし、私にくれる愛情は本物。
普通は二人揃ってこんなことなんてしない、あの時でさえ二人同時になんてことは無かった。それなのに蓮さんと陸さんは、私を含め何事も三人で一緒に居ることを選んでくれた。
だから私も勇気を出そう。
いつまでも二人に負担をかける私で居ないように、1歩を踏み出すべき。……そう思えたの。

陸さんの二度寝は、蓮さんの『朝食』という一言でお流れ。私は一度部屋に戻り着替えて、それから……。

「……薬……」

手に持つ日課の薬たち。
私を落ち着かせてくれる唯一の物だった……けど。

「今日は飲まないよ」

中からピルだけを取り出し、心療内科の薬は飲まずにクローゼットの奥に押し込んだ。だって蓮さんと陸さんが居るから、私を落ち着かせてくれるから、薬は必要ないでしょう?
少なくなった薬だけを服用し、私は朝食を食べに部屋から出る。ほら、リビングには私を安心させてくれる存在が待っているもの。

「今日はホットサンドとサラダにコーヒーだよ」
「これだったら僕でも作れる」
「でも蓮さんのホットサンドって、ガスでの加熱だから難しいと思う」
「まぁ、気をつけないとすぐに焦げはするね」

何気ない朝の雰囲気、でも朝から私が安心出来る空間。三人でこうして朝食を食べるのが、いつの間にか私の心の安定になっていると気づいたんだよ。

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