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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第9章 あの時-千弥の封じた過去
「……朝食が終わってから、リビングで話を良いですか?」
「俺は構わないけど大丈夫かい千弥?」
「嫌だったら無理に聞かないって僕は言ったよ」
「うんん、私が聞いて欲しいから大丈夫」
朝食を食べ終え皿を食洗機に入れてから、私はリビングへと移動し窓際に近いソファーに座った。思えばこうしてリビングに居ることは少なく、このソファーだって初めて座ったと思う。
それだけ気を使っていたんだよね私たち。
次に陸さんがリビングにやって来て、最後に蓮さんが三人分のコーヒーを淹れてリビングに来た。コーヒーを受け取った私は、どこから始めようと記憶をたどり、やはりあの時からだと持てる勇気を全て使い口を開く。
「あれは高校を卒業して、地元の大学に入学した19歳の秋。その頃の私はサークルに参加していて、別サークルとの親睦会であの男と出会ったの」
全ては4年前のあれから始まった。
◇◇
「千弥ー見てみて、凄いイケメンが居るよ!」
「確かにイケメンだけど、狙う人も多いね」
「あれだけ顔の造作が整っていれば、みんな夢中になるってば」
「それもそうかぁー」
私があの男……九鬼湊也(くき そうや)に会ったのは、この親睦会が初めてで、女性たちに囲まれる九鬼を、私はどこか冷たい目で見ていたと思う。
だって、誰にでも愛想を振り撒く軽い男、私にはそうとしか見えなかったの。
だから同じサークルの女性友達や、男性仲間と一緒に話をしていた。そのほうが楽しかったのよ。