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第10章 光の当たる場所-千弥

「…………」
「…………」

私の話を聞く間、蓮さんと陸さんはずっと無言。そうだよね、こんな最低な話だもの相打ちなんてしたくもなくなるよ。

「子供を堕ろしたことで妊娠というのが怖くなり、常時薬用ピルの服用。それにこの精神状態を抑えるために精神薬の服用。……これが本当の私。いつもなにかに怯え自分の殻から出たくないのに、身体だけは躾られた時のまま」

精神状態は普通ラインまで戻ったけど、あんなやり方を受けた身体は一切戻ることを知らず、入院当初は病室なのも構わずに刺激を求めてオナニーしていたくらい、私の身体は快楽に溺れている。今だってスイッチが入ればあの惨状だよ、これだけはもう一生治らないと思う。

話すだけ話し、私はいたたまれずに横を向く。
窓から空を見つめ、吐き出した記憶に気が滅入りそう。……今日は薬を使わないと決めたのに、ダメな私だよね。

「……それが本来の千弥なのかい？　俺は少し違うと思うよ」
「蓮さん？」

違うと言われ、私は蓮さんのほうを見る。いったいなにが違うというの？

「そんな真似をされたら、身体はね仕方がないと思うよ。でもね、怯えるのが千弥が言う本来の性格かい？　今聞いた話に添えば、無理な責めの果てに出来た第３の性格、それに依存していないかい千弥？」
「依存？」

九鬼に監禁される前の性格は、私はもう覚えていない。その記憶があっても、なにを考えていたまではうろ覚えに近いの。覚えているのは九鬼に関することだけ、そこだけはハッキリと記憶にはある。