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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第10章 光の当たる場所-千弥
「それが一番安定するから、千弥はその性格に落ち着いてしまったのではないかい?」
「僕も思う。僕と話す時の千弥は普通だよね、それでもまぁ時間はかかったけど。僕が知る千弥は怯えることなんてしないよ、それが本来の千弥なんじゃないかな」
「陸さんとは、割りと普通に話していると思う。でも思うであって自信はないの、私自身も分からないの。
入院後に続けたカウンセリングで、漸く普通に会話出来るようになったくらい、私は誰とも話せなくなっていたから」
人が怖い、男性が怖い、近寄る誰でも怖い。保護しようとした警察にさえも怯え暴れた私、あの時点でもう精神崩壊していたから、今の私は入院後に出来た第4の私ということになるのかな?
「多重人格または統合失調症、それが私の病名。私はもう1つには戻れない、心のスイッチの入りかたで、どの私が出て来るのか自分でも分からないのよ。そして今の私は多分に病院でバランスを取られた私、社会に適合するために出来た私だとは思う」
「千弥はそれで良いのかな? 俺はね千弥が千弥で居る性格がいい。もし躾られた性格がいいのであれば、それが千弥の性格だよ、そして俺はその千弥でも受け入れると思うね」
「僕も同じかな? 千弥が千弥をしていられるなら、どの千弥でも受け入れるよ」
「蓮さん、陸さん」
こんなことを言われたのは初めて。病院でさえ躾られた私は否定されたから。
あの性格が良いとは思わないよ、それでも受け入れると言ってくれるほうに嬉しさが募る。