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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第11章 忍び寄る過去の影-千弥の決断
「千弥のことだったら、幾らでも心配するよ」
「そう。それに僕が止められなかったのも影響しているんだから、余計に心配する」
「心配させても良い、薬を使っても構わない。でもね千弥、1つだけ約束して欲しい、俺たちの居ない間に薬を使わないこと。後で気づいた俺たちのほうが切ないから」
「……私……私……」
フワッと、千弥が俺と陸双方に抱き付いて来る。……その瞳に涙を潤ませて。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい! 私の勝手な思いのせいで、二人にこんな辛い思いをさせていたなんて!」
「それはいいよ。千弥には千弥の事情があるからね」
「僕たちは、それを知っていて千弥と付き合っているんだから気にしないで」
「……夢の中で言われたの、もう少し二人を頼れって。もう一人の私がそう言っていた」
どんな夢を見ていたのだろう? うなされる千弥だったのに、そんな夢を見ていたなんて。いや、本当に夢なのだろうか? 千弥の中に存在する別の千弥が諭したのではないか、俺にはそうとも取れる。
「……大丈夫、もう大丈夫だから。私が冷静に判断すれば大丈夫って気づいた、だからもう本当に大丈夫」
「……千弥……」
「そう言ってくれる千弥が一番嬉しいよ」
ずっと俺たちを離さない千弥の両腕、それは漸く俺たちを本気で頼ろうとしている証にほかならない。
過去を過去と冷静に向き合い、先に進もうとする千弥。
この件から千弥は本格的に薬を絶ち、俺たちになんでも話し頼るようになっていく。