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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第11章 忍び寄る過去の影-千弥の決断
◇◇◇
こうして千弥を見つめながら側に居るのに、千弥は一向に目を覚ます気配すらない。
俺と陸は、着替え簡単な夕食を取っただけで、後はずっと千弥に張り付いたまま。それはまぁ、眠気に勝てず少し千弥の隣でうたた寝をしたりしたが、必ずどちらかが起きており、常に千弥の手を握っている。
「……あれから6時間経つね」
「日付が変わった頃?
僕はまだ大丈夫だけど蓮は?」
「このまま眠れるわけがないよ」
「……そうだよね」
この部屋に連れて来た時よりは、穏やかな寝顔になった千弥だけど、ずっと目を覚まさないのではないのかと心配になって来る。
どこまでも深い眠り、そんな言い方が合っているのだろうか? 今の千弥を見ていると、そんな不安に襲われてしまう。
「……千弥、戻って来て欲しい」
「そうだよ、こんなこと僕たちは望んでいない……明るく笑っている千弥が好きだから」
「そうだね、千弥には笑顔が一番良いよ」
俺と陸の願い。
いつも通りに笑って欲しい、普通の千弥で居て欲しい。九鬼なんかに振り回されないで、俺たちの元に戻って来て欲しい。
そんな俺たちの願いが通じたのか……。
「………………」
うっすらと千弥の目が開いた!
「千弥、千弥、分かる?」
「千弥……良かった。目を覚まさなければ俺は……」
「……蓮さん? ……陸さん?」
「分かるかい千弥?」
「僕たちずっと千弥の側に居たんだよ」
「私……。ごめんなさい、私の心が弱いせいで、二人に心配を掛けさせてしまったのね」