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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第13章 ルーキーの反抗-陸


千弥と同じく定時までに退職届を提出し、身の回りの物だけを整理して、僕はこの会社を後にした。

「こんなことがなければ、それなりに良い会社だったんだけど……今更だよ」

未練は無い。そもそもあの話が消えなかったのが不服だったんだから、これで良かったそう思える。
本当ーっに千弥じゃないけれど、次の職探しだなとか思いつつマンションに帰宅。

「お帰りなさい陸さん」
「お帰り。今日は陸が好きなステーキだよ」
「ただいま……」

リビングに入った途端、なんて言うのかな……安心感? それとも安堵感? そんなものが一気に押し寄せたんだ。やっぱり緊張していたのかな僕は。

「千弥、蓮、僕……仕事辞めちゃったー!」
「陸!?」
「え、えーー!?」

そりゃ驚くよ、僕は辞めないと思っていたんだから。
でもあれはムリ、ぶっちゃければキレたってこと、僕だってキレるよ当たり前じゃない。

「ほら、あの話を蒸し返されて、オマケに僕に千弥を呼び戻せって部長の頭ごなしの命令が来てさ、ムカついて退職届突き出して帰って来た」
「それって私のせい……」
「違う千弥じゃない、武田が僕と千弥を部長に売ったんだ。自分の保身と業績欲しさ……すぐに気づいたよ。だから余計に許せなかった」
「武田さんが……そんなこと……」

千弥すればショックだよ、そこまで仲はよくなかったとはいえ同期入社なんだから。比較的僕たちの味方だと思っていた武田の裏切り……僕がルーキー? 冗談じゃない! 僕は普通に仕事をしていただけ、そこに打算なんて無かった、それは千弥も同じなんだ。

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