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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第4章 千弥と蓮

嫌な感じじゃない、熱いものにうなされている感じ、そんな言葉が一番合ってると思う。優しくて、でも少し強引なところもある、蓮さんの不思議な魅力。
「本気で考えて……千弥……」
「私……私……」
耳を通る甘い囁きは、私を痺れさせる毒のよう。言葉は身体中に染み渡り、うんと頷きそうになってしまう。こんな説得の仕方ってズルい、嫌とは言えないこの雰囲気の中で、そんなことを言わないで。
「考えて千弥。……それと今夜俺の部屋に来ない? 限界なんだ、千弥が欲しくて堪らない…………千弥を抱きたい」
「それは……はい……」
「ありがとう千弥、夜に待っているから」
もう一度、私をキツく抱き締めてから、私の身体を解放してくれる蓮さん。『約束だよ』と、額にキスを一つ落とされ、蓮さんは出勤の準備の為に部屋へと戻って行った。
その間、全く動けなかったのは私のほう。蓮さんからの熱に私が引きずられてしまった、嫌なんて拒めなかった。
「…………あっ、バス時間!」
暫くボーっとしていた私だけど、我に返ってみれば、通勤するバス時間まで後少しじゃないの!
慌てて部屋に飛び込み鏡を見てから、マンションを飛び出す羽目に……。
顔が赤かったのは、バスに乗る迄には落ち着くとは思う。
(あ、朝から凄いことしてる)
バスに乗ってから今のことを思い出して、自分が凄くドキドキしていたことに気づいた。だって……あんな……甘く情熱的に誘惑されたら、どんな女性でも私みたくなるよ。そしてとても恥ずかしい。

