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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第4章 千弥と蓮
「夢は自分で掴むもの……俺もそうだったよ。
今は独立してやっているけれど、その前は大手で使いっ走りばかりしていたね」
「……蓮さんが?」
「このままでは伸びないと思い、一念発起で独立。初めは仕事さえ来なかったけど、目一杯自分を売り込んで、少しずつ仕事が入って来るようになった」
「自分を売り込む……」
私はそんな努力をしただろうか? つい最近まで新入社員というものに甘えていなかった? 同じ頃の陸さんを思い出して見ると、却下されても何度も何度も企画書を提出していたと思う。
……甘んじていた私のほうが悪い、そして蓮さんの言っているほうが合ってる。今のままじゃ、私はこのままどこにも進めない。……そう、選べないでこうして三人揃い暮らし初めてしまったのと同じこと。
「本気で考えて欲しい千弥」
「……蓮さん」
「好きな女性と一緒に仕事をする、男性にとればこれ以上幸せで、やりがいがあるものはないんだよ」
隣に立っていた蓮さんが、私を抱き締めて来る。本気だと言わんばかりのキス。腰を掬われ触れ合う唇、確かめるような蓮さんの唇の動き……朝からダメ、こんな甘いキスは弱いよ私。
「……あっ……蓮さん、これから出勤……」
「もう少しだけ、深くはしないから千弥の唇を確めたい」
「……ん……あ……」
「瞳をそんなに潤ませて……不味いね、朝から本気になりそうだよ」
繰り返される唇の触れ合い、押し付けられては離され、また角度を変えて押し付けられるの。