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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第5章 不安

陸も千弥の不自然さに気づいたよう。そこまで徹底して男性を避けていた千弥、その裏にあるものがどす黒く見えてくる。
「そうだよ、どんなに誘っても飲み会とかは絶対に頷いてくれなかった。勿論、千弥がアフターになにをしていたか、僕も知らない」
「だけどね、今日は用があるから帰りは遅くなると千弥は言ったんだよ」
「どこかに寄り道……僕は今日定時帰りだと思うから、千弥を追ってみる?」
「あまりプライベートに突っ込むのも……ね」
気にはなるが、そこまでして良いのだろうか?
俺も、陸も、千弥もプライベートは存在する。幾ら同居をしているとはいえ、そのラインに踏み込んで千弥が怒りはしないか? ラインが分からない以上、踏み込むべきではないと分かってはいる。だけど千弥の用も気になるばかり。
「見つからないように配慮はするよ、そしてなにを見たとしても千弥には言わない……これでもダメ?」
「はぁ……。俺は聞かなかった、そういうことにしておこうかな?」
「話分かるぅ蓮!」
「…………」
どうしても気になるあの豹変ぶり、陸が追いかけることにより少しでも手掛かりが掴めるなら、俺は目を瞑るしかない。千弥を愛し心配するゆえに、敢えてプライベートに踏み込む。良い方法だとは思わない、それでも真実を知りたいという心に俺は負けた。
「絶対にバレないように、それだけは言っておくよ?」
「分かってる。結果は帰って来てから部屋で話そう」
こうしてまた陸との共同戦線が始まる。今度はいい理由ではないが……。

