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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第5章 不安

余り食材どいえども、食材自体は手付かずの新しい物。前は貰うなんて無かったが、今は『食費は三人で出す』というルール上、少しでも足しになればと貰うようになった。
仕事上こう拘った料理を作ることが多い俺、一般的な会社員が賄う1ヶ月分の食費では足りなくなる可能性があり、目に付いたメインは収録などの余り食材、残りをスーパーなどて購入するのが基本スタイル。
調味料などは仕事もかねるので、食費には計上せず俺の自費購入、これでなんとか普通の食費ラインに抑えることに成功した。……まぁ、千弥と陸には言わないが。
「まさかサーロインが塊のまま……なんて言えば、渋い顔をされそうだしね」
今日の戦利品は、和牛サーロインの塊。仕事をしていれば、こんなのは当たり前で1つ貰って来たというところ。流石にそのままは不味いと思い、分かりにくいサイコロステーキに加工、一部を使いテールスープ風、千弥のカロリーも考え豆腐を使った和風サラダ、最後にご飯かパン、これが今日のメニュー。
「残りは熟成と冷凍……やれやれ時間が長い」
時計を見れば19時近く。残業がほとんど無い千弥は、18時頃に帰宅するのが普通。陸でも19時には帰って来ていることが多い。
だというのに、今日は姿も連絡すらも無い。一度調理の手を止め、俺は部屋入り煙草を吸う。二人を気づかいリビングで煙草を吸うのは止めたというより、仕事をかねたキッチンがあるので、元々リビングで煙草を吸うのは少なかったと思う。吸うと言っても日に数本、こうして暇な時に吸うだけ。

