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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第5章 不安

「…………」

ベッドの端に座り、咥え煙草でダラッと吸うのが俺のクセ。空き時間を無心に過ごす、こんな意味も込められてはいるが、今日は無心にはなれそうにない。
思い出すのは……昨日の千弥。
シーツをキツく握り、乱れ鳴くあの姿。頭に浮かんだだけで、ゾクッとしたものが俺の身体を駆け抜ける。

「……いや、不味い……」

もっと責めたら千弥はどうなるか? そんなことが頭を掠め、俺は違うと首を横に振る。俺はノーマルだ、決して変な趣味なんて無い、無いと思いたい。
それでも……頭を巡るのは、更に淫靡に乱れる千弥の姿態、鳴き叫ぶ千弥を押さえ付けている俺の姿。

「本当に不味い。暇だと部屋に来たのが失敗だったね」

とはいえ二人が帰るまでは特にやることも無く、俺はこの悶々とした気持ちで過ごすのかと思うとやりきれない。思えば思うほど深みにハマりそうな感覚、千弥に優しくしたい想いを持つ反面、見て感じてしまった千弥の乱れように、邪な欲望が膨らむ俺の感情。

「陸から話を聞いてから、それからどうすれば決めれば良いのに、本能というのは理性よりタチが悪いよ」

初めて気づいた俺の中にある別種の欲望。どんな手を使ってでも、とことんまで責め犯し千弥を陥落させたいという新たな願望。
かなり危ない思考だと自分でも気づいている、そんなことをすれば千弥の信用を失いかねないとも。

だが思うは別物。思うだけなら害は無い、実行しなければ俺の想いは誰にも分からない。……そんなのは言い訳に過ぎないのに……。

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