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八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第5章 不安
陸の話を合わせれば、千弥は心療内科を受診した後に、婦人科で処方だけを貰ったことになる。
ますます分からなくなる千弥の謎。昨日のことが関係しているのは明らかだろうが、『何と何故』が読めない。男性の影……そうも考えたが、これも違うらしい。
「どうして千弥が心療内科に通っているのか、そこから考えないとダメだね」
「今日の千弥は、ずっと具合が悪そうだった。それに僕避けられてたよ、昼休みなんか速攻でデスクから消えていたから」
「朝に俺が見た千弥も、そんな雰囲気だったね。
……昨日のことが不味かったのか、全くの別理由なのか、俺は昨日のことが絡んでいると思ってる。あんな千弥は普通じゃない」
「僕たちって、千弥をどこまで知っているんだろう。少なくとも僕は、千弥のプライベートまでは知らなかったよ。そう、学生時代の話すら千弥はしてくれないんだ」
「陸が分からなければ、俺はもっと分からない。なぜ自分の持てる能力をいかんなく発揮しないのかさえも、俺には分からないからね」
消極的な千弥の性格。
行為中に豹変する千弥。
千弥が病院に通う謎。
この全てに答えが出る日が来るのだろうか?
出なければ、千弥は俺と陸から離れてしまうのではないだろうか。そんな漠然とした不安が俺の頭の中を通り過ぎてゆく。
この問題に、答えと解決方法を見出だすのはまだ先。
今はまだ陸と一緒に、合わないパズルを持って模索する日々が続く。……千弥が本当に心を開いてくれる日まで。