この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
八重の思いー私を愛した2人の彼氏
第2章 始まりは桜の下で……
全体的な空間作りは小野寺さん、私は食器などの小物担当なので、ここまでの話には口を挟めないの。
「この照明に合わせて、食器類を用意出来るかな三苑さん?」
「小野寺さんのプランに合わせて、食器を選択していますが、ご覧になりますか」
「良いね、見たいよ」
10時の小休憩の時に、小野寺さんからこの資料は貰っていたので、急遽変更する食器だけを私が用意した……という流れ。
会社の倉庫から持ち出した新しい食器たち、こうした小物を決めるのも好き、そこに料理が乗ると考えるともっと好きなの。
「照明の反射を考え、少し白をおさえ目にした食器をセレクトしてみましたが、どうでしょうか?」
「白一色は変に反射するからね。今は白よりも色の付いた食器が好まれる傾向もあるから、このラインは良い感じに見える。だけど、白も多少は欲しいかな?」
「数種類、反射率が低い白を探してみます」
流石、尾上さんは手強いよ。敢えて白も入れるなんて、私にはちょっと想像出来なかった。
(食品業界では有名な人だから)
24歳にして、周りが認めるほどの実力。手掛けた店は、雑誌やテレビに取り上げられるほど、尾上さんの知名度って高い。
私や小野寺さんと1つしか違わないのに、この差は凄いと思う。
今日の打ち合わせは並程度、そんな簡単に全てが決まるなんてない。後は合わせた話を総合し、またプランを練り直す。これを何度も繰り返すのが私の仕事、名前より地味な作業が多いのは、どの仕事も同じじゃない?