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第12章 俺の言う事を聞け

ただ優誠が私を優しく抱きしめた。そして辛そうな顔で優誠が

『わかっている。俺だっていやなんだ。だけど俺はそういう世界で生まれてまだ俺の半分はその世界に居るからどうしようもないんだ。』

と言って来た。私には優誠が何を言いたいのか全くわからなかった。優誠は

『今度、お前が酔ってない時に全部話してやる。だから今日は俺の言う事を聞いてくれ。』

といつもとは違う口調で言った。なんだか優誠が今にも泣きそうになっているように私には見えた。だから私は大人しく優誠が渡してくれた水を黙って飲んだ。

優誠はずっと私のおデコにキスをしていた。私が眠くなって来たから優誠が家まで送ってくれた。その日はマンションの前までではなく、マンションの私の家の前まで送ってくれた。

私はベッドに潜ってすぐに眠った。

翌朝の私は完全に二日酔い決定だった。だけど学校には行かないわけにはいかないから私は少し冷たいシャワーを浴びてノーメイクのままのしかも適当な服で駅に向かった。

やっぱり結城さんが黙って私について来ていたけれど二日酔いの私にはもう考える気力もなかった。

駅では空が

『やっぱり５分遅刻が美奈だね。』

と私に呆れていた。お昼に学校の食堂で空と里美から夕べはどうなったのかを聞かれた。私は一応は簡単に説明をしたけれど二日酔いが酷くて帰りたかった。

結局その日の午後は私は体調不良という事で先に１人で帰る事にした。結城さんが

『お送りします。』

と言って私を家までレクサスで送ってくれた。

金曜日の夜に優誠からメッセージだけが来た。

『悪い。今週は出張で関西にはいない。』

って短いメッセージだけだった。私は空とお酒抜きで遊びたいと連絡をした。里美は土曜日はバイトだから誘えなかった。

空は私に大阪に遊びに行こうと言ってくれた。

土曜日の昼から私が家を出るとやっぱりうちの前には結城さんが居た。

『どちらまで？』

と私に聞いたけれど私はスルーをして駅に向かった。だけど、またしても結城さんは黙ってついて来た。

空とは空の家の最寄りの駅で待ち合わせだ。空は結城さんを見て

『やっぱり、ついて来るの？』

と聞いて来た。私は本当にこのままだと友達を失くすかもと不安になったけれど空は

『そんな事はしないから大丈夫だよ。』

といつものように私の頭を優しく撫でてくれた。