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この香りで……。
第1章 プロローグ
バンと床に書類を投げつける。飛び散った書類がハラハラと空を舞った。
奈々葉の後輩、佐々木陽太《ささきようた》が首が落ちるのではないかと思うほど項垂れている。
「部長? 里井部長? おはようございます。ハイ……」
里井の眼鏡の奥の無表情な目が奈々葉を睨みつけて言った。
「ちぇっ、空気読めねえ奴だな。おまえって宮崎」
里井の眉間に深いシワが入った。
奈々葉は床に膝をついてそこに散らばった書類を拾う。用紙を立ててトントンと端を揃え、ハイ、と陽太に手渡して優しく背中を押す。
陽太は奈々葉に深々と頭を下げて、自分のデスクに戻る。
周りの者が動き出す。止まっていた時間が動き出したように……。
奈々葉の後輩、佐々木陽太《ささきようた》が首が落ちるのではないかと思うほど項垂れている。
「部長? 里井部長? おはようございます。ハイ……」
里井の眼鏡の奥の無表情な目が奈々葉を睨みつけて言った。
「ちぇっ、空気読めねえ奴だな。おまえって宮崎」
里井の眉間に深いシワが入った。
奈々葉は床に膝をついてそこに散らばった書類を拾う。用紙を立ててトントンと端を揃え、ハイ、と陽太に手渡して優しく背中を押す。
陽太は奈々葉に深々と頭を下げて、自分のデスクに戻る。
周りの者が動き出す。止まっていた時間が動き出したように……。