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この香りで……。
第27章 エピローグ
:
その日もいつもと同じ朝だった。菜々葉と里井は玄関のホールで、仕事に出かける準備をしていた。
「なあ、奈々葉。渡すか、どうか考えたんだけど……」
里井がスラックスのポケットから小箱を取り出した。そして、里井が奈々葉の左手を取り、シルバーの指輪を薬指にはめた。
――えっ……。
菜々葉は手のひらを天井にかざした。きらめく薬指の指輪が涙で滲んで見えない。
「何よ、ビックリするじゃない。ったく、空気読めねえやつだな」
と言うと、菜々葉は笑いながら里井を見た。自分の心臓の音が手にとるように聞こえる。里井の胸に抱き寄せられた。
「これからも、ずっとよろしくな。菜々葉……」
ふわりと香ばしいコーヒーの香りに包まれた。
――この香りがずっと続きますように……。
「航さん……、この子と私、末永くよろしくお願いします」
いつもと変わらず、二人の部屋にはコーヒーの香ばしい香りが広がっていた。
おわり
その日もいつもと同じ朝だった。菜々葉と里井は玄関のホールで、仕事に出かける準備をしていた。
「なあ、奈々葉。渡すか、どうか考えたんだけど……」
里井がスラックスのポケットから小箱を取り出した。そして、里井が奈々葉の左手を取り、シルバーの指輪を薬指にはめた。
――えっ……。
菜々葉は手のひらを天井にかざした。きらめく薬指の指輪が涙で滲んで見えない。
「何よ、ビックリするじゃない。ったく、空気読めねえやつだな」
と言うと、菜々葉は笑いながら里井を見た。自分の心臓の音が手にとるように聞こえる。里井の胸に抱き寄せられた。
「これからも、ずっとよろしくな。菜々葉……」
ふわりと香ばしいコーヒーの香りに包まれた。
――この香りがずっと続きますように……。
「航さん……、この子と私、末永くよろしくお願いします」
いつもと変わらず、二人の部屋にはコーヒーの香ばしい香りが広がっていた。
おわり