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この香りで……。
第12章 口紅
チン……。
エレベーターの到着音だ。このビルの到着音はチーンというよりも〈カチッ〉に近く固い音だ。
足音が聞こえる。カツカツカツとヒールのある靴らしい音が、一つ、二つと増える。
しばらくして、また到着音がなる。
窓際の時計に目をやる。針は八時二十七分を指している。
「もう……部長……」
「ご、ゴメン……俺……」
♫♪♪〜〜♪♪♫
奈々葉のお気に入りの曲が軽やかに流れ始めた。トートバッグの中にあるスマホの着信音、数日前にダウンロードした曲だ。
奈々葉は手探りでバッグの中からスマホを取り出す。
スマホのスクリーンをタップする。美希からの着信だ。
エレベーターの到着音だ。このビルの到着音はチーンというよりも〈カチッ〉に近く固い音だ。
足音が聞こえる。カツカツカツとヒールのある靴らしい音が、一つ、二つと増える。
しばらくして、また到着音がなる。
窓際の時計に目をやる。針は八時二十七分を指している。
「もう……部長……」
「ご、ゴメン……俺……」
♫♪♪〜〜♪♪♫
奈々葉のお気に入りの曲が軽やかに流れ始めた。トートバッグの中にあるスマホの着信音、数日前にダウンロードした曲だ。
奈々葉は手探りでバッグの中からスマホを取り出す。
スマホのスクリーンをタップする。美希からの着信だ。