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永遠に見えた世界
第9章 慣れてくれよ…
だから俺は無理矢理にでもそんな美奈を引き寄せて抱えてやる。美奈は佐伯が気になるらしく俺の上でジタバタとした。

俺は美奈の耳を舐めながら

『ちゃんといい子にしろよ。』

と言ってやる。今度はジタバタをしていた美奈が真っ赤になって固まってしまう。まだまだこういう状況には慣れていない美奈だ。その時美奈の携帯が鳴り出した。

美奈は何故かその自分の携帯の画面をのんびりと眺めてやがる。しかも不思議そうな顔でまるで初めて携帯を見るように眺め続けている。

電話をかけて来た相手も美奈の場合は大変だな。俺はそう思って美奈に

『友達か?』

と聞いてやる。美奈は呑気に

『うん、空からだ。』

と答えて来る。どうやら美奈と付き合うには相当な忍耐力を必要とするようだ。

『早く出てやれよ。』

と言って俺は笑うしかなかった。美奈は

『もしもーし。』

とやはり呑気に電話に応対をする。

これで就職がしたいとか社会に出たいとか本気で言っている辺りが美奈の怖いところだな。

俺がそう思う間、美奈は電話の相手に今は俺と居る事とバイトは俺の会社ですると説明をしていた。どうやら美奈をバイトに誘っていた友人からの電話だと俺にもわかった。

だが突然、美奈が俺を真っ直ぐに見たまま電話の相手に向かって

『大丈夫。今、超幸せだから…。』

と言い切った。言い切った後の美奈は少し照れくさそうに俺に笑顔を向けた。そして携帯を切ってから俺に身体を預けて来る。さっきまで佐伯を気にしてジタバタとしていた美奈とはまるで別人のようだった。

俺は美奈を抱えたまま美奈の頭を撫でてやる。

ゆっくりとでいいからこういう生活に慣れてくれよ…。

俺は美奈にそう思った。

気付けば美奈はまたスースーと眠った。適当娘は順応すると物事に動じないようだ。ある意味、美奈は肝が座っているのだと俺は感心をしてしまった。

美奈はよく眠った。美奈が寝ている間に白浜のホテルに着いた。俺は美奈を

『着いたぞ。』

と言って起こした。美奈はまたしても寝ぼけているようだった。佐伯と車を降りるとこの白浜にはわざわざ結城以外に松森と大山も来ていやがった。
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