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秘密のピアノレッスン
第4章 淡い思い

11月に入り、第一週のレッスン日がやってきて、だんだん発表曲の練習に時間を割くようになってきた。
先生と同じグランドピアノで弾いているのに、こうも違う音が出るとは。
私が弾くとロマンのかけらもないのに、先生の手本は音が生きている。
「この曲に限らずだけど、滝沢さんの音は硬いな。バロックには向いてるけど……。手始めに、好きな人のこと考えて弾いてみたら?」
どきりとした。先生が、好きな人だとかそんな恋愛の話をするのもとても意外だったし、ドキドキしてしまって……顔が上げられない。
「好きな人はいません……」
「いないの?女子校だからか。かっこいい教師とかは?芸能人でもいいし……何か、ときめくようなことを」
「い、いません……先生は、おじさんばっかりだし……」
「はは。ついでに俺もおじさんだしね」
おじさんじゃないのに……。
とても素敵なのに。
先生と同じグランドピアノで弾いているのに、こうも違う音が出るとは。
私が弾くとロマンのかけらもないのに、先生の手本は音が生きている。
「この曲に限らずだけど、滝沢さんの音は硬いな。バロックには向いてるけど……。手始めに、好きな人のこと考えて弾いてみたら?」
どきりとした。先生が、好きな人だとかそんな恋愛の話をするのもとても意外だったし、ドキドキしてしまって……顔が上げられない。
「好きな人はいません……」
「いないの?女子校だからか。かっこいい教師とかは?芸能人でもいいし……何か、ときめくようなことを」
「い、いません……先生は、おじさんばっかりだし……」
「はは。ついでに俺もおじさんだしね」
おじさんじゃないのに……。
とても素敵なのに。

