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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第6章 神速! 沖田総司!!
「改めまして、新選組の沖田総司です」
「沙川古流の宮本小次郎だ」
くすり。沖田の笑いが夜風に流れる。
「強そうな名前ですね」
「そのいじりはもう散々されてきたので飽きた。近藤にもされたしね」
あはは。今度は声に出して楽しそうに沖田が笑う。
場所はいつもの河川敷。時間は細長い月が空に昇る頃。
「ああ、忘れないうちに言っておかなくちゃ。花楓さん、お弁当ありがとうございました」
「弁当?」
俺の声に沖田が頷く。
「小次郎さんと話を終えて、猫も寝てしまったので道場を辞そうと思ったら、花楓さんが下さいました。お腹が空いていたのでとてもありがたかったです」
ふん、と花楓が鼻を鳴らす。
「おじいちゃんの干し柿、全部食べてくれちゃって。お腹が空いてるんじゃないかって思ったのよ」
「ええ、とても。おいしかったですよ。小次郎さんが羨ましい。お弁当箱は道場に返しておきました。洗えなくてすいません」
戦いの前とは思えない、穏やかな時間。
もし沖田と違う形で出会えていたら…
時代を超えて出会えたこと自体が奇跡だというのに、思わずそんなふうに考えてしまう。
「そろそろはじめよう。これ以上和むと剣が鈍りそうだ」
「そうですね」
穏やかな空気を圧するように俺と沖田の剣気が膨らむ。
「今度は僕も本気で行きます。あなた方も隠さず全ての力で応じて下さると嬉しい」
「もちろん。そんな余裕もないし」
俺の背後に立つ花楓。鞘に入った小太刀をしっかりと両手で握っている。
思い返せば近藤は俺達を試しているような、そんな戦いをした。
永倉はお爺さんだったし、武田とは命を削り合うような撃ち合いはなかった。原田との戦いでは暴走した『力』によって戦いは一瞬で終わった。
つまり、本当の真剣勝負、お互いを認め合い命を奪い合う戦いはこれがはじめてと言ってもいいかもしれない。過去喉の戦いの時よりも体も心も緊張している。危険な相手だと頭の中で警報が鳴る。
俺の緊張を感じ取ったか、鞘を握る花楓の手にも力が入っている。指先が白くなるほど強く握りしめている。
「沙川古流の宮本小次郎だ」
くすり。沖田の笑いが夜風に流れる。
「強そうな名前ですね」
「そのいじりはもう散々されてきたので飽きた。近藤にもされたしね」
あはは。今度は声に出して楽しそうに沖田が笑う。
場所はいつもの河川敷。時間は細長い月が空に昇る頃。
「ああ、忘れないうちに言っておかなくちゃ。花楓さん、お弁当ありがとうございました」
「弁当?」
俺の声に沖田が頷く。
「小次郎さんと話を終えて、猫も寝てしまったので道場を辞そうと思ったら、花楓さんが下さいました。お腹が空いていたのでとてもありがたかったです」
ふん、と花楓が鼻を鳴らす。
「おじいちゃんの干し柿、全部食べてくれちゃって。お腹が空いてるんじゃないかって思ったのよ」
「ええ、とても。おいしかったですよ。小次郎さんが羨ましい。お弁当箱は道場に返しておきました。洗えなくてすいません」
戦いの前とは思えない、穏やかな時間。
もし沖田と違う形で出会えていたら…
時代を超えて出会えたこと自体が奇跡だというのに、思わずそんなふうに考えてしまう。
「そろそろはじめよう。これ以上和むと剣が鈍りそうだ」
「そうですね」
穏やかな空気を圧するように俺と沖田の剣気が膨らむ。
「今度は僕も本気で行きます。あなた方も隠さず全ての力で応じて下さると嬉しい」
「もちろん。そんな余裕もないし」
俺の背後に立つ花楓。鞘に入った小太刀をしっかりと両手で握っている。
思い返せば近藤は俺達を試しているような、そんな戦いをした。
永倉はお爺さんだったし、武田とは命を削り合うような撃ち合いはなかった。原田との戦いでは暴走した『力』によって戦いは一瞬で終わった。
つまり、本当の真剣勝負、お互いを認め合い命を奪い合う戦いはこれがはじめてと言ってもいいかもしれない。過去喉の戦いの時よりも体も心も緊張している。危険な相手だと頭の中で警報が鳴る。
俺の緊張を感じ取ったか、鞘を握る花楓の手にも力が入っている。指先が白くなるほど強く握りしめている。