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キズナツナグモノガタリ ~誠の男と性の少女~
第8章 戦いが終わって
土方との戦いから随分経った。冬ようやく終わりの気配を見せ、暖かい日も多くなった。もうすぐ春が来る。左腕の傷もやっと治った。
俺は墓参りに来ていた。
さわさわと風が吹き、空を目指す線香の煙が乱れて消える。
じーちゃんは全ての戦いを終えた俺を労ってくれた。
「斬った者を忘れないこと。それが最大の弔いじゃ」
そう言ってくれたじーちゃんの言葉は、戦いを経た俺の心に深く沁み込んだ。
忘れないこと。
それはきっと難しい。これから生きていく中でたくさんのことを見て、たくさんのことを聞く。その中で記憶を鮮明に持ち続けるのは不可能に近い。
それでも。
俺はぐっと右手を握りしめる。この手には斬った時の感触がまだ残っている。
「小次郎」
背後からの声に俺は振り返る。
そこにいる大事な人。
─花楓。
俺は墓参りに来ていた。
さわさわと風が吹き、空を目指す線香の煙が乱れて消える。
じーちゃんは全ての戦いを終えた俺を労ってくれた。
「斬った者を忘れないこと。それが最大の弔いじゃ」
そう言ってくれたじーちゃんの言葉は、戦いを経た俺の心に深く沁み込んだ。
忘れないこと。
それはきっと難しい。これから生きていく中でたくさんのことを見て、たくさんのことを聞く。その中で記憶を鮮明に持ち続けるのは不可能に近い。
それでも。
俺はぐっと右手を握りしめる。この手には斬った時の感触がまだ残っている。
「小次郎」
背後からの声に俺は振り返る。
そこにいる大事な人。
─花楓。