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記憶の彼方に眠る恋
第3章 事故

少し間をおいてから、美香が言う。
「記憶がなくなっちゃったみたい」
「え?!」
予想外の答えに、紗友莉の思考はしばし停止した。
美香が紗友莉の問いかけを待たずに、説明を続けていく。
「私も、拓麻君のお母さんから電話で知らせてもらっただけだし、拓麻君本人と話したわけでもないので、詳しいことは分からないんだけど……。なんでも、数日前に交通事故に遭ったらしくて……。拓麻君のお母さんの話では、身体的には打撲程度で済んだので、ケガらしいケガもなく、全く問題ないんだって。でも、記憶を失くしてしまって、自分がどこの誰なのかすら分かってないみたいで……」
少しずつではあるが落ち着きを取り戻してきた紗友莉が、ここで質問を挟む。
「言葉を忘れたとか、会話ができないとか、そういうことではないのね?」
「ああ、うん、なくした記憶は、『自分はどこの誰なのか』とか『家族や友人など、人間関係のこと』とか、そういう記憶らしくて、会話は普通に出来るみたい。でもホント……大変なことになっちゃった……。事故の日から3日間、検査入院してたみたいだけど、幸い身体にはどこにも異常がないっていうことで、退院して自宅療養することになったみたい。それで、もう拓麻君は実家に帰ってるらしいよ。私もできることなら、すぐにでも拓麻君に会いに行きたいんだけど、今週末は予定が詰まってて。幸い、忙しい時期に終わりが見えてきたから、来週中には必ず、会いに行こうと思ってる」
「そっか……。美香、教えてくれて本当にありがとう! 今から拓麻君の家に電話して、よければ早速明日、会いに行ってみる」
「いえいえ。様子が分かったら、教えてね」
「うん、もちろん」
「記憶がなくなっちゃったみたい」
「え?!」
予想外の答えに、紗友莉の思考はしばし停止した。
美香が紗友莉の問いかけを待たずに、説明を続けていく。
「私も、拓麻君のお母さんから電話で知らせてもらっただけだし、拓麻君本人と話したわけでもないので、詳しいことは分からないんだけど……。なんでも、数日前に交通事故に遭ったらしくて……。拓麻君のお母さんの話では、身体的には打撲程度で済んだので、ケガらしいケガもなく、全く問題ないんだって。でも、記憶を失くしてしまって、自分がどこの誰なのかすら分かってないみたいで……」
少しずつではあるが落ち着きを取り戻してきた紗友莉が、ここで質問を挟む。
「言葉を忘れたとか、会話ができないとか、そういうことではないのね?」
「ああ、うん、なくした記憶は、『自分はどこの誰なのか』とか『家族や友人など、人間関係のこと』とか、そういう記憶らしくて、会話は普通に出来るみたい。でもホント……大変なことになっちゃった……。事故の日から3日間、検査入院してたみたいだけど、幸い身体にはどこにも異常がないっていうことで、退院して自宅療養することになったみたい。それで、もう拓麻君は実家に帰ってるらしいよ。私もできることなら、すぐにでも拓麻君に会いに行きたいんだけど、今週末は予定が詰まってて。幸い、忙しい時期に終わりが見えてきたから、来週中には必ず、会いに行こうと思ってる」
「そっか……。美香、教えてくれて本当にありがとう! 今から拓麻君の家に電話して、よければ早速明日、会いに行ってみる」
「いえいえ。様子が分かったら、教えてね」
「うん、もちろん」

