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記憶の彼方に眠る恋
第3章 事故

挨拶を交わして電話を切った紗友莉は、いてもたってもいられず、すぐさま懐かしい拓麻の実家の電話番号を指でなぞった。
こうして実家に直接電話するのは、紗友莉にとっては中学生のとき以来のことだ。
当然ながら多少の緊張もあったが、それよりも何よりも、拓麻の容態のことと、明日訪問する約束を取り付けられるかということが気がかりなので、ためらいは一切ない。
すると、割とすぐに拓麻の母親が電話に出てくれた。
久方ぶりの会話ではあるが、紗友莉は挨拶などを簡単に済ませた後、単刀直入に本題へと入る。
「その……。拓麻君が事故に遭ったって、友達から聞いたんですが……」
「ああ、そういえば紗友莉ちゃんは美香ちゃんと仲が良かったかしら」
「ええ、美香から聞きました」
今回の件について、拓麻の両親が紗友莉より先に美香に連絡したことは、決して偶然ではなく、しっかりと意図があってのことだと紗友莉は分かっていた。
そして、もしかすると、美香やその他の旧友たちには知らせても、自分には知らせてもらえなかったという可能性すらあることも。
しかし、紗友莉はそのことについて、「身から出た錆」だと捉えている。
幼少期に起きた、ある出来事によって、拓麻の両親は紗友莉に対してあまり良い印象を抱いていないのだ。
もっとも、拓麻と紗友莉が大の仲良しであることから、拓麻の両親としても、紗友莉と完全に縁を切ったり、紗友莉を無視したりすることは不可能なようだったが。
それでもその一件以来ずっと、拓麻の両親の、自分に対する態度が若干よそよそしくなってしまったことを、紗友莉ははっきりと分かっており、自業自得と理解しているとはいえ、それはとてもツラかった。
こうして実家に直接電話するのは、紗友莉にとっては中学生のとき以来のことだ。
当然ながら多少の緊張もあったが、それよりも何よりも、拓麻の容態のことと、明日訪問する約束を取り付けられるかということが気がかりなので、ためらいは一切ない。
すると、割とすぐに拓麻の母親が電話に出てくれた。
久方ぶりの会話ではあるが、紗友莉は挨拶などを簡単に済ませた後、単刀直入に本題へと入る。
「その……。拓麻君が事故に遭ったって、友達から聞いたんですが……」
「ああ、そういえば紗友莉ちゃんは美香ちゃんと仲が良かったかしら」
「ええ、美香から聞きました」
今回の件について、拓麻の両親が紗友莉より先に美香に連絡したことは、決して偶然ではなく、しっかりと意図があってのことだと紗友莉は分かっていた。
そして、もしかすると、美香やその他の旧友たちには知らせても、自分には知らせてもらえなかったという可能性すらあることも。
しかし、紗友莉はそのことについて、「身から出た錆」だと捉えている。
幼少期に起きた、ある出来事によって、拓麻の両親は紗友莉に対してあまり良い印象を抱いていないのだ。
もっとも、拓麻と紗友莉が大の仲良しであることから、拓麻の両親としても、紗友莉と完全に縁を切ったり、紗友莉を無視したりすることは不可能なようだったが。
それでもその一件以来ずっと、拓麻の両親の、自分に対する態度が若干よそよそしくなってしまったことを、紗友莉ははっきりと分かっており、自業自得と理解しているとはいえ、それはとてもツラかった。

