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記憶の彼方に眠る恋
第4章 再会

頭を右手で押さえながら、拓麻は低く小さな声でぼそぼそ呟いた。
「必死で思い出そうとするけど、その度に……苦しい。そして怖い。俺の記憶が、まるで真っ暗闇に閉ざされてしまっているみたいだ……。早く記憶を取り戻したい……。取り戻したいけど……」
そこで拓麻の心に浮かんだのは、紗友莉の姿だ。
「でも、記憶が戻ったとき、紗友莉と離れ離れになって、平等院さんと結婚せざるを得ない状況に陥るのは絶対に嫌だ。何とかならないものか……。それにしても、紗友莉が愛しい。今すぐにでも、また抱きしめたい。……そして、さっき紗友莉と逢った瞬間、『どこかで会ったかも』と感じたのは、絶対に気のせいじゃない。もしかしたら、紗友莉だけが唯一、俺の記憶を取り戻すためのカギなのかもしれない。もしかしたら俺は……記憶をなくす前から、紗友莉のことが密かに好きだった可能性すらある。そうでもないと、父さん母さんすら覚えていなかった今の俺が、紗友莉にだけ『どこかで会ったかも』みたいな感想を抱くなんて、説明がつかないはずだ」
さまよう拓麻の視線は、万年筆と同じく机の上に乗っている、例のお守りに留まった。
そっと、そのお守りを手に取り、独り言を続ける拓麻。
「これを見てると、ものすごく懐かしい気がする。紗友莉がくれたもののような気すらするけど、さっき本人がはっきり否定してたから、違うのか。……うーん」
色々と考えているうちに、拓麻はますます、どっと疲れた気がした。
そして、心の中で「紗友莉も帰ってしまったことだし」と呟くと、ベッドへとその身を横たえる。
記憶を失っている不安も相まって、仰向けに寝転んだ拓麻のまぶたは自然と閉じ始めた。
「必死で思い出そうとするけど、その度に……苦しい。そして怖い。俺の記憶が、まるで真っ暗闇に閉ざされてしまっているみたいだ……。早く記憶を取り戻したい……。取り戻したいけど……」
そこで拓麻の心に浮かんだのは、紗友莉の姿だ。
「でも、記憶が戻ったとき、紗友莉と離れ離れになって、平等院さんと結婚せざるを得ない状況に陥るのは絶対に嫌だ。何とかならないものか……。それにしても、紗友莉が愛しい。今すぐにでも、また抱きしめたい。……そして、さっき紗友莉と逢った瞬間、『どこかで会ったかも』と感じたのは、絶対に気のせいじゃない。もしかしたら、紗友莉だけが唯一、俺の記憶を取り戻すためのカギなのかもしれない。もしかしたら俺は……記憶をなくす前から、紗友莉のことが密かに好きだった可能性すらある。そうでもないと、父さん母さんすら覚えていなかった今の俺が、紗友莉にだけ『どこかで会ったかも』みたいな感想を抱くなんて、説明がつかないはずだ」
さまよう拓麻の視線は、万年筆と同じく机の上に乗っている、例のお守りに留まった。
そっと、そのお守りを手に取り、独り言を続ける拓麻。
「これを見てると、ものすごく懐かしい気がする。紗友莉がくれたもののような気すらするけど、さっき本人がはっきり否定してたから、違うのか。……うーん」
色々と考えているうちに、拓麻はますます、どっと疲れた気がした。
そして、心の中で「紗友莉も帰ってしまったことだし」と呟くと、ベッドへとその身を横たえる。
記憶を失っている不安も相まって、仰向けに寝転んだ拓麻のまぶたは自然と閉じ始めた。

