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記憶の彼方に眠る恋
第4章 再会
 拓麻の父は慎重に言葉を選ぶ様子で、ポツリポツリと答える。
「望未さんと拓麻本人がどうしてもと言うのであれば、我々も従うしかないんですが……」
「是非お願いします」
 望未はそう言うと、深々と頭を下げた。
 この方向で物事が進んでほしい拓麻も、望未をアシストするように、両親に対して軽く頭を下げる。
 拓麻の父が軽く頷いてから残念そうに言った。
「望未さんがそこまで仰るのなら仕方ありません。一時的に解消するということにしましょうか。ただ……望未さん。今のお気持ちをお聞かせいただけますか?」
「拓麻さんへの私の気持ちはいささかも揺らぎません。心の底からお慕い申し上げていますし、私としても自らこうした申し出をいたしますのは断腸の思いです。ですが、何より、拓麻さんの心の負担を少しでも取り除くことが出来れば……と思いまして。記憶が戻るまで、私はいつまでも待たせていただきます。また、私に出来ることがあれば、微力ながら何でも喜んでご協力させていただきたく存じます」
 望未はまっすぐ、拓麻の父の目を見ながら、背筋を正して言い切った。
 この態度に、心を動かされたのは、拓麻の両親だけではない。
 拓麻もまた、望未ほどの女性にここまで言われて、決して悪い気はしなかった。
 もっとも、いずれ再び婚約したいとは微塵も思っていなかったが。
 ともかくこうして、婚約を一時的に解消することで、話はまとまった。
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