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私の結婚式前夜
第5章 ベッドで

「懐かしい……よく懐中電灯持ち込んで、俺、お父さんに叱られてた」

「あれ、持ってきてたの、いつも私だったのに…………」

 お兄ちゃんが滲んで見えた。声が出ない。

 幼い頃から『夏芽は出来がいい』とか『お兄ちゃんはお片付けが苦手な……』とか両親がしきりに言っていた事を思い出した。

「俺、兄貴だから夏芽を守らなきゃ……、なーんて……ね?」

 お兄ちゃんの声が鼻声になった。光るものがお兄ちゃんの頬を伝っていた。

 ――ずっとお兄ちゃんが守ってくれたんだ。

 お兄ちゃんの手を握る。指を絡めて恋人握りになる。

「ゴメンね。お兄ちゃんゴメンね」と私の心が繰り返す。

『夏芽はねえ、お兄ちゃんのお嫁さんになるの』という言葉の記憶が蘇る。

「チューして……」

 私は目を閉じて、お兄ちゃんの唇を待つ。

 お兄ちゃんの唇を重なって、舌が絡みつく。恋人握りのまま……。私はその手を胸の膨らみに誘導した。


 お兄ちゃんの温かい手のひらが私の胸の膨らみを包む。ふんわりした柔らかさを確かめるようにその指が動き始める。優しく捏ねられる。

 甘くピリピリした感じが身体に広がる。
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