この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
bloʇbnilᙠ
第8章 物本 第9第
「演奏会用ですね」
「はい」
「ちなみに……渡す相手は男性ですか?女性ですか?」
「……男性です」
分かりました、とお客に返事をして、俺は花を選ぶ。
実家の生花店を手伝い始めてから5日が経った。
グラっと…視界が歪んで、俺は目をギュッと瞑った。
少し疲労が溜まってきた。
学生の時手伝ってたし、業務内容も全部分かってるつもりだったが、やっぱりこの立場でやってみると、知らなかった業務も多くある。
完全に舐めてた…
早朝の仕入れは兄貴が行ってくれるから、まだマシだ。
それでも朝から花を表に出して、水を全部変えて、手入れをしながらお客の対応して…
閉店したあとは花を戻して…
自分の店の仕込みをやる時間が前ほど取れない。
だから、夕方、自分の店を開店させながら用意もして、
日付が変わる頃に店を閉めて、数時間寝て
そんでまた実家に行って…
その繰り返し。