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第8章 物本 第9第




「桜っ……」




荷物を掴んで、慌てて店を飛び出していった桜を呼び止めるが、桜は振り返りもせずにそのまま店から消えていった。




「っ……ったくっ…」




片手で顔を覆って、俺はチッと舌を打った。




マジで何してんだっ……



俺は…ずっと桜を支えるつもりで……



手がワナワナと震えた。



堪えられなかった。




先ほど見せた桜の混乱した表情を思い出して、俺は強引に立ち上がった。




違う。




あんな顔をさせたかったんじゃないっ……




懸命に力を振り絞って、俺は店を飛び出す。






「はぁッ……」




相当体がやばいのが分かった。



でも、今自分のこと気にしている場合じゃない。



早く桜のところに行かねぇと、今までの努力が全部水の泡になる。




俺は体のダルさを堪えて、ひたすらに桜のアパートまで走った。


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