この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
bloʇbnilᙠ
第8章 物本 第9第
もう何度も想像した桜の唇。
でも、本物は想像以上に柔らかくて、触れているだけなのに、胸が切なく締め付けられる。
そしてそのまま俺はゆっくりと顔を離した。
「もう分かったって……言ってんだろ」
堪らずに桜を強く抱き締めて、グッと自分の方へと引き付ける。
桜……
「聞いてらんねぇよもう……」
バレてねぇと思ってんのかもしんねぇけど、
お前が苦しんでるのなんか、表情で丸わかりなんだよっ…。
「限界だ……」
このまま過ごしてたって何も変わんねぇんだから……
和明なんかやめて
俺んとこに来い──────
「あのっ……」
ようやく言葉を発した桜。
そして、俺はゆっくりと体を離して見つめた。
「─────…」
混乱させている…───
その表情に、ハッと我に返って、今更俺はとんでもないことをしたことに気付く。
ワナワナと唇を震わせた桜は、俺の胸を押しのけて、勢いよく立ち上がった。
…違う………
なんで俺今っ………