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第9章 唇 章01第
ようやく着いた桜のアパートの前で、俺は膝に手を付いて息をついた。
上がっている息を懸命に整えて、桜の部屋の扉に手をつくと、傍にあるインターホンを押した。
呼び鈴が虚しく響き渡る。
応答がないことに焦って、扉を叩いた。
「桜っ!」
中から微かに音がする。
いる。絶対に中にいる。
「いるんだろっ! 開けてくれ!」
それでも尚返事がないことに俺は息を吐いた。
何であんなことしたんだ…バカかホントにっ……
後悔してももう遅い。
それでも俺は諦めきれずに、扉を叩き続けた。
「悪かったっ……ここを開けてくれ」
頼むから……返事をしてくれ…