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第9章 唇 章01第
ずるずると、その場にしゃがみこんで、ドアに頭を付けた。
「かっ、帰って下さいっ……」
ようやく聞こえてきた桜の声に俺はハッと息を飲んだ。
「桜………」
動揺しきったその声を聞いて、苦しくなった。
今まで、こいつを苦しめてるやつらに散々腹を立ててたのに、今度は俺がそうさせているという事実。
「頼む……開けて……話をさせてくれ…」
そう言いながらも、何を話したらいいのか、それすら浮かんでない。
でも、混乱させるつもりも…傷付けるつもりもなかった。
俺は支えてやりたくて……
桜が心配で……
「今日はもう無理なんですっ……」
パタパタと、桜が部屋の奥に行く足音がする。
ようやく頼ってくれるようになったのに、こんなことで…
「頼む……」
力なくそう呟いたが、バタンと中の扉が閉まる音がして、俺はハァ……と深く息を吐いた。