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第10章 体正 章11第
正直
自分が嫌になるから、あまり思い出したくはない過去だが───
俺には、高校から付き合っていた彼女がいた。
卒業して、大学に行って、社会に出て。
幾度となく環境が変わったが俺たちはダラダラと付き合いを続けていた。
付き合い続ける理由もなかったが、何より別れる理由もなかったのがダラダラしてしまった原因なんだろう。
そうしてただ積み重ねただけの年月が、さらにお互いを縛り付けて…────
気付いたら言葉にすることはなくても、結婚することはまるで義務のようになっていた。
周りからもそうする事が当たり前のように言われて、本当にやりたいことがあっても言い出せる雰囲気でもなかった。
そして周りに流されるまま…
勢いで結婚したってのはまさにこの事だ。
幸せだと思った期間もあったことにはあった。
でも、結局、俺は自分に嘘は付けなかった。
「……結婚してるのに『性に合わねぇ』とかいう馬鹿げた理由で会社をやめるなんて、今考えたら本当にただのアホだ」
そうは言うが、
毎日が息苦しくて、そのまま収まってるなんてことは、当時の俺にはどうしても出来なかった。
“結婚してたら普通そんなこと出来ない”と、親を含め色んなやつに言われた。
それはその通りだと当時も思ったし、今も思う。
でも、俺は……“あいつがいるから我慢しよう”と、そう思い切れない相手と
結婚してしまったんだろう。