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第10章 体正 章11第



なんだ急に。



「鍵、貸して下さい」



「鍵?」



訳が分からず聞き返すと、桜は頷いた。



は?


意味分かんねぇ。





「鍵ってなんの」



眉を上げて推し量ろうとしていると、桜は微かに呆れたような表情を見せた。




「なんのって、そりゃあお店の」


「なんで」


「仕込みとか、色々あるでしょ」



伸ばしていた腕を下ろしながら、桜はそう言った。



仕込みだ??



「……何言ってんだよ」


「今日は私がやります。だから、ほら」




そう言いながら、桜は俺の前に再び手を差し出した。



何言ってんだ。


桜一人で店を開くなんて出来る訳ねぇ。


いや……出来るかもしれねぇし、信用してない訳でもないけど…。




「バカいうな。さすがに今日は閉めるよ。だから何もしなくていい」




こいつは色々あった後だ。


そんな不安定な状態で働かせたくねぇし。


しかも、今は何かあってもすぐに助けにいける体じゃない。





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