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第11章 風 章21第
気分にはそぐわない、心地よい風が体を駆け抜ける。
このままこの悶々とした気持ちまで吹き飛んでしまえばいいのに、そうもいかねぇのが無情というか…なんというか……
「ね? 別に大袈裟になんか言ってないでしょ?」
「…ん………」
病院の外のベンチ。
幸は両手を叩いて、そう言った。
昨日の桜の様子からして、絶対に幸が俺の実家やらの話を大袈裟にしたんだと、そう思っていた。
でも、どうやら聞き出した限りではそんなこともなさそうで、ますます俺は分かんなくなっていた。
「そんな事で、こんな早くに呼び出したわけ?」
「……わりぃ」
素直に謝る俺を見て、幸は目を丸くしている。