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第11章 風 章21第


許せねぇっ……



チッと舌を打って、俺はベンチから立ち上がった。




「そろそろ、薫のところに行こうかな」




腹が立って仕方ねぇ。



今すぐにでも殴りかかりたい。



その気持ちを堪えて、微かに震えている桜の隣へ向かった。



和明は、そんな俺に気付くと、呑気に微笑んで軽く会釈をしている。





「どーも。桜の義理の兄の和明って言います」





やばい。




このままだと本気でこいつのことを殴ってしまう。



早く桜を連れて、こいつの前から立ち去らねぇと……




言葉を返さずに、黙っていると和明は、再びニコニコと微笑んだ。




「あの……桜をどうぞよろしく」



「────────」








ああ……





無理だ────





頑張って堪えてやってたのに




最後の和明の言葉に、



完全に



スイッチが入ってしまった。


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