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第11章 風 章21第
唇を噛み締めて、冷静になろうと息を整える。
ゆっくりと、和明から離れると、桜ははぁ……と息を洩らして和明に向き直った。
「桜っ……お前……っ」
和明の動揺した声。
今更、桜の気持ちに気付いて、そして後悔している。
「……鈍感すぎ」
「っ……俺はっ……」
桜が心配になって、俺は顔を上げた。
震えている和明に、桜は切なげな視線を送る。
「ずっと…好きだったよ」
「さくらっ……」
和明が、桜の名前を呼ぶと、桜はフッ…と緩く笑った。
「いい加減…卒業するね」
「っ………」
「お姉ちゃんと、お幸せに」
「……気付かなくてっ……俺はっ…」
「さよなら……」
和明に背を向けた桜は、視線を落としたまま俺に近付く。
「ごめんっ……」
そう和明が震えるように呟いている。
桜はそれにピクっと体を動かしたが、そのまま振り返ることなく歩みを進めていた。