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第12章 みぼつ 章31第

「そうですね」



桜は静かに言葉を返した。




「……あぁ」



「いつも……心配してくれて、ありがとうございます」



「いや…」




見つめてくる桜の表情を見て、切なさが体を駆け巡った。





「──────っ…」






なんで、そんな顔すんだよ……っ






「もう、疲れましたし…早く閉めましょ」




「……そうだな」





熱すぎる想い。



それを懸命に静める。




そして、締めの作業をする桜の横顔が苦しそうで、息を飲んだ。



訳分かんねぇっ……



俺は…お前になんて言ったら良かったんだ。



本当の事言ったって…
応えられずにまた飛び出していくんだろっ……




桜の気持ちが全く汲み取れないことに焦りが募る。




あんなに手に取るように分かった桜の表情と感情。



なのに今はさっぱり分からなくなっている。




いつからこんなに桜の心が読めなくなったんだ……。



そんなことを考えながら、俺は痛む胸を抱えて作業を続けた。




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