この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
bloʇbnilᙠ
第12章 みぼつ 章31第
「そうですね」
桜は静かに言葉を返した。
「……あぁ」
「いつも……心配してくれて、ありがとうございます」
「いや…」
見つめてくる桜の表情を見て、切なさが体を駆け巡った。
「──────っ…」
なんで、そんな顔すんだよ……っ
「もう、疲れましたし…早く閉めましょ」
「……そうだな」
熱すぎる想い。
それを懸命に静める。
そして、締めの作業をする桜の横顔が苦しそうで、息を飲んだ。
訳分かんねぇっ……
俺は…お前になんて言ったら良かったんだ。
本当の事言ったって…
応えられずにまた飛び出していくんだろっ……
桜の気持ちが全く汲み取れないことに焦りが募る。
あんなに手に取るように分かった桜の表情と感情。
なのに今はさっぱり分からなくなっている。
いつからこんなに桜の心が読めなくなったんだ……。
そんなことを考えながら、俺は痛む胸を抱えて作業を続けた。