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第15章 いならいはし隠目 章71第



「店長がいてくれて、本当に助かりました」



「───……」



「ありがとうございます」





その言葉が、胸に染み渡る。


迂闊にも

涙が出そうになって、必死で堪えた。



ホッとしたような……


報われたような…





とにかく、


ずっと苦しかった胸が温かい。





「そうか……」





詳しくはよく分かんねぇけど…




笑うようになって、本当に良かった。




桜はマグカップの中身を見たまま紅茶をすすっている。



それをみて、俺も自分のマグカップを掴んで紅茶をすすった。





「店長…」



「ん?」



何の気なしに返事をする。




今日の紅茶、

注意散漫で淹れた割には結構うまくはいってる。






「好きです…」



「─────……」




呑気な事を考えてたその時、


不意を突かれて俺は紅茶を飲んだまま固まった。





「……大好き」



「─────…」






まんまと桜にやられて、俺はゆっくりとマグカップをテーブルに置いた。



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