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第23章 さ尊 章52第
作っていた酒をグラスに入れて、俺はカウンターに置いた。
「葵はこれ、持っていってくれ。桜、洗い場溜まってきてるから頼む」
「はい!」
機嫌良さそうに返事をした葵のことを桜が見つめている。
あれ………なんか、不機嫌つーか、不安そうにしてねぇか…?
さっきまで力が抜けてた桜の方にまた力が入っているのが分かる。
また何か気に食わないことがあったのか、と考えあぐねている間に、桜の視線に気付いた葵が笑顔で桜に向き直る。
「どうかしました……?」
「…………あの…さ」
至極真面目な表情をする桜が何を言い出すのかと、固唾を飲んで見守る。
「………あんたも、店長のこと好きなの…?」
「え……………?」
「………は?」
とんでもねぇ事を突然口走る桜に、俺と葵が固まる。
………そうだった…
桜は、俺が葵に靡く心配だけじゃなく、葵が俺に好意を持っているんじゃないかってことまで気にしてんだった…。
何か言葉を発しようと思うが、こんな目の前で自分に関する事を言われて、どんな言葉を返したらいいのか分からずに、対応に困っていると、俯いた葵が、「桜さん………」と呟いた。
「なに……?」
「も、もう一回言ってください……っ」
おい……これ、本当、俺はどんな顔してりゃいいんだ…?
「だから、店長のこと、好きなのかって───」
「あんた"も"………あんた"も"って言いましたよね!?!?」
「きゅっ…急に何……」
「言いましたよね!?!? ね!?!?」
突然水を得た魚の如く元気になって桜に迫る葵に俺も目を見開いた。