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第23章 さ尊 章52第
叩くものがないか、辺りを見渡して歩くと、桜が腕を掴みながらついてきたので、フッと笑った。
そして、チラシを丸めてると、今にも泣き出しそうな桜を見つめた。
今は猫ってよりも子犬、だな。
「そこにいろ」
頭を撫でると、桜はコクリと頷いて目を瞑った。
すぐにそいつを仕留め、後処理をしながら、もう問題ないことを伝えると、桜はよろめきながら、再びカウンターに座った。
「あり…がとう…ございま…した…」
胸がこそばゆいような、そんな感覚。
そしてそれは覚えがあって懐かしい感覚でもある。
桜の隣に立って顔を覗き込むと、桜はまだ目をうるうるさせながら、俺を見つめた。
クールぶってるが、実は全然そんなことはない。
本当は結構人間味に溢れていて……
「あん時と同じだな」
俺の言葉に桜は首を捻る。
「…………あん時?」
桜にどうしようもなく胸をかき乱された、最初の日。
フッと笑って俺は、さぁ、と惚ける。
「相変わらず大袈裟だなぁ、泣くこたぁねぇだろ」
「だって……」
気持ち悪そうに自分を腕を抱いている桜の頭に手を乗せて髪をわしゃわしゃと乱すと、桜はムッとして俺を見上げた。
「たまんねぇ」
またキョトンとして首を捻る桜が愛おしい。
「俺がいんだから安心しろ、な」
あの時は、素直に伝えられなかった言葉だったが、今は胸を張って伝えられる。
まぁ、こうなるまで長かったが、な…,
俺の言葉に、嬉しそうな表情を見せる桜を見て、俺自身も嬉しくなりながら、桜の手を引いて、部屋へと急いだ。