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第24章 物い買 章62第







目の前でポロポロと桜が泣いている。




そして、俺はそんな桜を見ながら笑う。




一見すると非情に見える行動。



場所は台所。


桜からの突然の申し出で、一緒に料理をしているわけだが、桜は玉ねぎを切った後に、まんまと目を痛めて泣いている。




「笑ってないでどうにかしてっ……」



料理初心者丸出しの状況に、微笑ましくてやはり笑ってしまう。



そりゃ、あんな至近距離で玉ねぎ見ながらみじん切りなんてしたらそうなるに決まってるんだが…




「冷凍庫に顔突っ込んで瞬きするとに楽になるらしいぞ」



昔テレビで見たことを思い出しながら、俺は冷凍庫の扉を開けた。



けど桜はポロポロ泣いたままきつい視線を俺に向けている。




「そんな嘘騙されません!!」



「うそじゃねぇって」




少し戸惑った様子を見せていたが、どうとでもなれといった様子で桜は冷凍庫に頭を突っ込む。



中々シュールな光景に、俺はバレないように声を殺して笑った。




「ど…?」



「……マシ、になった気がする」




へぇ、あの情報は本当だったわけか。


桜が放り出した包丁を掴んで、まだ途中のみじん切りを代わりに続ける。



「なんで平気なの……」



「いや…うーん? 慣れ?」



手早くみじん切りを済ませて、まな板を洗う。


次は鶏肉……か。


パッと冷蔵庫の方に向き直ったら、涙を拭いながらこちらをじっと見つめている桜と目が合った。


こんな目にあうなら、料理したいなんて言うんじゃなかった、とか思っているのかもしれない。



そっと「鶏肉、取ってくれ」と頼むと桜は静かに冷蔵庫から鶏肉を取り出して俺に渡した。

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